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(独)産業技術総合研究所安全科学研究部門長
中西準子氏のHP (http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/)より抜粋です。雑感494-2009.10.28「化審法と産業の競争力」
A. 化審法と産業の競争力
2009年5月に、化審法が根本的に改訂され、公布されたことは、すでに7月8日に書いた(雑感483)。その時の国会審議について書く。と言っても、全体的なことではなく、先日産総研に来られた経済産業大臣政務官の近藤洋介さん(民主党衆議院議員)(雑感491)の質問と意見について書いておこうと思う。
議事録を読んだ時から、このご意見は、日本では、珍しい意見だと思って注目していたのである。その方が、急に産総研に現れたので驚いたのだが。http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009817120090415007.htmに議事録がある(第171回国会 経済産業委員会環境委員会連合審査会、平成21年4月8日、第1号)。
何故、遅くなったか?
まず、最初の質問は、2002年の環境サミットの合意を受けた実施がかくも遅れたのは何故か?日本がこの7年間過ごしている間に、欧州は、REACHやRoHS指令を出して、日本の企業は大きな影響を受けている。今回の改正は、欧州への対抗措置という色彩も強いように見受けられる。化審法ができた時は、この分野で我が国はフロントランナーだったのに、今やラストランナーになったのではないかというものだった。
これに対して、細野哲弘局長(当時:製造産業局長)は、REACHは必ずしも国情に合わない、あくまでも、国情に合った最もふさわし管理のあり方を追求した結果、こういうことになったと答えている。
産業戦略との関係は
産業の競争力とか、技術革新とかいう文言がない
続けて、近藤議員は、以下のように質問している。
「私は、この化学物質に関する規制というのは、国の産業政策というか産業戦略と非常に密接にかかわる、こう思っております。例えば、携帯電話とか液晶テレビとか何でもいいんですけれども、ある部材の化学物質がこれは危険だと認定をされた、その瞬間に、その製品は市場から締め出されてしまうわけですね。安全という、一見これはだれもが反対できない表看板を使って、国によっては、非関税障壁をつくろうと思えばつくることもできるわけです。」
「このことは欧州は実は認識しておって、」「REACHの前文に堂々と・・目的に、いわゆる産業の競争力と強化を確保することにある、このことも明記しているんです。・・・ 翻って我が国の化審法でありますが、どこをどう見ても、産業の競争力だとか技術革新を確保するという文言は見当たらないわけであります。」
これに対して、局長は「産業への影響については当然の前提として配慮した上で、こういう新しい制度にさせていただいた」と答えている。
それを受けて,近藤議員は「そうだとすれば、やはりちゃんと法律に書き込んでいくべくだと思うんですね」と重ねている。
日本の方式を世界標準にする戦略は?
議員「いずれにしろ、ヨーロッパにしろ各国にしろ、アメリカも同じような規制を考えているようですが、これはもう国益と国益のぶつかり合いなわけですね。当然、守るべき法益は安全です。そして、人体への配慮であり、環境への配慮です、守るべき法益は。
だけれども、同時に、産業の競争力という観点も守るべき法益の中に加わっている。これが、逆に言えば、ヨーロッパが提示した世界標準なんじゃないんですか。ヨーロッパが、REACHが提示した世界標準はそういうことなんじゃないか。こういうことをしっかり認識するなら、やはり法律にちゃんと書き込むべきだろう、こう思うわけですね」
「局長の御答弁のとおりにやっていきます、こういうことだとするならば、・・日本の方式を世界標準にする、こういうことだと思うんですね。要するに、欧州の規制がいいのか、日本のスタイルがいいのか、どちらがいいのか。日本は後出しじゃんけんの形で提案したわけですけれども、こっちの方がいいというんだったらば、これを徹底的に世界標準にする必要がある。
そうだとするならば、やはりアジア各国に日本の方式をどこまで広げることができるかという、これは競争になるわけでありまして、これについて、先ほど環境大臣の御答弁がございましたから、今度は経済産業省、こういった日本型の仕組みを、とりわけアジアについて普及させる戦略なり考えはどこまでお持ちなのか、ぜひお答えいただけますか。」
産業の競争力という言葉を使えない日本
この議事録を読んだ時、確かにREACHには、“競争力及び革新を強化させつつ、人の健康や環境の高レベルでの保護”という目的がはっきり書かれていた。日本では、こういう文言は消えてしまい、ひたすら安全のためになる。その点を突いた質問と意見で、これだけはっきりしたことを言う人は珍しいと思ったのである。
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